ビオセボンの乳製品コーナーで、かわいい牛のパッケージを見たことはありませんか? 見た目だけでなく、そのおいしさにファン続出中の「おこっぺ」有機シリーズ。今回は、このおこっぺシリーズの生みの親であるノースプレインファームさんで、こだわりのポイントをお聞きました!

かわいい牛乳がつくられていた牧場は、こんな白銀の世界でした

見た目も、名前もかわいい「おこっぺ」ブランド。北海道・興部(おこっぺ)町にあるノースプレインファームでつくられるミルクは、とてもまろやかでやさしい味わいです。

牛乳だけじゃありません。チーズやヨーグルト、バターやお菓子は、都内の一流ホテルで採用されたり、幾度となくコンクールで栄えある賞を受けているんです。そんなグルメなミルクは、一体どんな思いでつくられているのでしょうか?

興部町は、オホーツク海に面した北海道の北東にある、人口約4000人の町。流氷が流れ着くことで有名な紋別市の北に位置しています。つまり…とっても寒い!!! 私たちが行った時、予報では最高気温が氷点下という時期。すごく冷え込むと、マイナス20℃台まで下がるもあるんだとか。

「エサも自社で、オーガニック」な牧場で、循環型の酪農を

時折雪がさらさらと降る2月、ノースプレインファームにお邪魔してきました!寒くても、牛たちは気ままにお食事中

ノースプレインファームは、現在の代表である大黒宏さんで4代目となる会社。牛乳をつくるだけでなく、チーズやバター、お菓子の製造からレストランの運営までを行っています。

その特徴は、飼料(牧草やデントコーン)、畜産物(牛から搾ったミルク)、加工食品(牛乳・ヨーグルトなどの乳製品)という3つの工程で、そのすべてにおいて一貫して有機JASを取得している、“オーガニックな牛乳をつくる牧場”であること!放牧によって牛がのびのびと健康に育つ「循環型酪農」を採用し、化学肥料を使わない有機牧草による牛乳づくりが行なわれています。

100ヘクタールもの広大な牧場に、50頭前後の牛を放牧。牛一頭一頭を尊重した穏やかな環境で、おいしい牛乳をつくっています
牧場を案内してくれたスタッフの山崎さんをぐるりと囲むのが、夏の間に採れた有機トウモロコシのコーンサイレージ。こうして熟成発酵させることで、栄養が蓄えられるのだそう
先ほどの包みを剥がすと、有機コーンサイレージが出てきました。みっちりと詰まったをサイレージていねいにほどいて、牛舎へ送ります
農場長の道坂さんと、津吹さん。津吹さんはノースプレインファームの理念に共鳴して、はるばる栃木から興部町に移住したそう

なんでも、おこっぺのミルクは、夏と冬で味が違うのだとか。「生えている牧草を食べるか、コーンを食べるか、冬に夏のうちに採れた牧草を食べるかで、味や栄養分は変わってきます」と大黒さん。生の牧草を食べる夏はミルクにもカロテンが豊富で、色も少し黄みがかかり味わいは青みのあるものに。そして冬は脂肪分が多くなる、という違いがあるんだそうです。

「おこっぺブランドの牛乳は、他の牧場のミルクをブレンドしていないもの。だから、季節によって味の違いが生じます。でも本来は、それが『自然』というものですよね。チーズも同じく、夏のチーズと冬のチーズで味の食べ比べができたりします。それこそが、おこっぺ牛乳の個性かな」

酪農大国とは違う、自分たちらしい「牛乳の価値」を見つけた

ランドマーク的なレストラン兼販売所「ミルクホール」

大黒さんは1980年代に大学で酪農を学び、本格的に酪農の仕事に就く前に、当時世界で一番ミルクの価格が安かったオーストラリアとニュージーランドでヒッチハイクの旅をしたそうです。そこでスケールが広く地理的にも有利な酪農の様子を見て、当時の日本で主流だった「酪農の規模を拡大して、世界と勝負しよう」というスタイルでは勝負にならないと感じたのだそう。

そこで目指したのは、「価値ある牛乳をつくること」。たくさんの牛を機械的に管理するのではなく、ほかに比べたら50頭という少ない数の牛を手塩にかけ、その恵みを価値の高いものする。これが、今につながる大黒さんの牛乳づくりのモットー、と語ります。

興部町生まれの大黒さんが子どもの頃、給食に出されていたのは興部でつくられた牛乳ではなかったそうです。それについて、大黒さんは「興部では牛乳をたくさんつくっているのに、なぜ、給食に出ないんだろう?」という疑問を長年胸に抱いていたんだそう。そこで、「子どもたちに興部の牛乳を飲ませたい。そのための施設を自分たちでつくろう」と考えたのだそうです。これも「価値ある牛乳」の一つの側面ですよね。

そんな思いから、ノースプレインファームは地元の人に向けた牛乳の宅配販売から新しい第一歩を踏みだします。宅配を始めた翌年にはチーズ・バターづくりを始め、そのまた翌年には先ほどの「ミルクホール」を建設。生キャラメルをつくりブームが起きた数年後の2011年には「おこっぺヨーグルト」の製造がスタートします。商品名に「大黒牧場」と名を入れず、「おこっぺ」と土地の名前を入れたのも、大黒さん自信のアイデア。地元・興部への思いはずっと変わらないと話します。

ずっと有機でやっていたから、有機JAS認証も取得しやすかったんです

ミルクホールで大黒さんにお話を伺いました。まだまだやりたいこと、たくさんの構想があるそうです

そして2013年にはまず飼料(エサ)の分野で有機JAS認定の取得を達成。「ずっと有機でやっていたので、有機JASを取得にあまり無理がなかったんです」と大黒さん。「もともと『化学肥料ってどうなんだろう?』という素朴な疑問があり、使っていなかった」と、ここでも、子どもの頃から持っていた「なんでだろう?」という気持ちに向き合って自分なりの答えを出してきた、大黒さんらしいお答えが返ってきました。

「有機JAS認定を取得する前から、おいしい牛乳ってなんだろうと考えていて。それは健康な牛から出るミルクのことだと思いました。健康な牛が食べるエサは、健やかな草ですよね。そう思った時、まずは牧草の生える土を良くしていこうというのが始まりでした。

『有機JASを取得しよう』というのは、現場のスタッフから挙がった声でした。その時、僕は『これまでも有機でやってきたし、わざわざマークを取る必要はないんじゃないか』と思っていたんです。でも、2009年に訪れたフランスでの体験や、ソルボンヌ大学の教授のお話を聞いて『認証に頼らない』から、『認証に価値がある』という考え方に共鳴し、取得しようと考えました」

有機JAS認証の取得は、酪農の分野ではとても画期的なことだったそう。「僕は自分に自信がないから、みんなの意見をよく聞くようにしていることが多いんだけど、今思うと取得してよかったなと(笑)。大規模な酪農ではなく、この土地に合うやり方で牛乳づくりを考えた結果、小さい規模でも高い価値をつけるということができました。それに、牧場だけでなくて工場やレストランもあれば、興部に雇用も生まれる。目の行き届く牛乳づくりを通じて、次の世代にも、その次にも引き継げる酪農ができればいいなと思っています」

清潔に管理された機械と人の目でつくる、手間ひまかけたバターやチーズ

ビオセボンでもおなじみの、「おこっぺ有機牛乳」が充填されている様子。機械と人の目でていねいに作業されていました

それでは、そんな思いの詰まった工場を拝見します!牛舎で搾られたミルクはタンクに詰められ、すぐ隣の工場に運ばれると、殺菌などの工程を経て牛乳・チーズ・バターなどに加工されます。

こちらがチーズ製造機!ミルクの入ったタンクをぐるぐるとかき混ぜて、チーズのもと「カード」をつくります
これがカード!これを圧搾することで、ナチュラルチーズができます。一口いただきましたが、まだ塩味はない状態なんですね
こちらがチーズ熟成庫。圧搾したチーズを塩水に漬けてから、自然の力を借りてじっくり寝かせる場所です
もちろん、チーズも有機のものを製造しています。サイズは30〜40cmぐらい、厚さは10cm以上。ふわりといい香りが部屋中に漂います

ここで、工場長の酒見さんにお話を伺いました。酒見さんはなんと、旭川にあるノースプレインファームの系列レストラン「エスペリオ」で食べたソフトクリームがおいしすぎて転職した…という経歴の持ち主!

「うちのソフトクリームは食べられる場所が限られているんですが、本当に感動するおいしさなんですよ(笑)。今は工場長として広く管理業務をしながら、バターやチーズづくりにも携わっています。でも実は、僕はこれまであまりチーズは食べていなかったんです。どうしても、『チーズは外国の食べもので日本人の僕の口には合わないんじゃないか』なんて思っていたんですが、ノースプレインファームのチーズは本当においしくて! 特に最近、有機にも取り組みはじめたゴーダチーズがおすすめです」

工場長の酒見さん。横にあるのは、「チャーニングマシーン」と呼ばれるメタルのバター製造機。昔ながらの製法で、手間ひまをかけてバターづくりをしています

「チーズやバターは、いわば生乳のエッセンス。生乳からチーズを仕込む時に採れる、たった2%の脂肪分でバターをつくります。つまり、バターは100kgの生乳から2kgしかできないという計算!とっても貴重なものなんです。

商品に目が届くというのは、大変ですが楽しさもありますね。『人がつくっている』という感覚があるというか、製造マニュアルはありますが、最後の部分でしっかり人が見ている。もちろん、季節や牛の食べているものによって味は多少変わるのですが、最後に細かいクオリティを調整するのは僕たちの役目だと思っています」

自然豊かな興部だから、できることはまだまだたくさんあると思う

なぜ、ノースプレインファームは、ここまで幅広くさまざまな事業を行うのでしょうか。大黒さんは、約10年前に訪れたフランスの風景が忘れられないと語ります。

「そこでは観光資源になるすばらしい自然があるだけでなく、その地域の農業や工芸、観光、商店をまたいで、都市の人がその土地の自然と文化に触れ合える地域づくりをしていました。それがとても興味深くて。興部のあるオホーツクでも、そんなことができないかと思っているんです」

帰り道に、流氷を見ることができました!「今年は氷が少ないほう」とのことでしたが、やはり特別な景色ですね

「興部は、自然が豊かなところです。夏は気持ちのいい気候になりますし、冬は流氷が流れ着く風景がある。古代から文化が栄えていた形跡の残る遺跡もあったりして、実は奥深いんですよ。

僕は、興部は世界で一番の地域かもしれないと本当に思っています。この地域の良さをオホーツクテロワール(風土)と呼んで、もっとクローズアップしていきたい。もともと、日本人は大自然と共に生きる文化を持ち続けていた人びと。都会に住む人にもこのすばらしさを感じてもらいたいですね。そのために僕は、酪農でできることをしていきたいですね。僕の人生の立ち位置は興部ですから」

おすすめアイテム

ノースプレインファーム
オホーツクおこっぺ有機牛乳180ml
オホーツクの自社牧場の牛乳。低温殺菌、ノンホモジナイズ。季節によって微妙に変わる自然な味わいを食卓に。
ノースプレインファーム
オホーツクおこっぺ有機ヨーグルト 砂糖不使用
濃厚でありながら爽やかな余韻を残す、食べるタイプのヨーグルト。砂糖が入っていないので、お好みでフルーツやジャムなどとご一緒に。
ノースプレインファーム
おこっぺ有機モッツァレラチーズ
搾りたての牛乳を使って、その日のうちにつくり上げるフレッシュなチーズ。 ミルクの風味たっぷりの、クセがない軟質タイプのチーズで、そのまま食べると、ぷにゅっとした独特の歯ごたえが楽しめます。

※写真はイメージです。
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